田西会館社長のブログ
(1)この2ヵ月間ほど、いろいろな会合や研修に参加しておりました。その中で共通して語られた言葉があります。「会… 続きを読む
2019/12/13
(1)この2ヵ月間ほど、いろいろな会合や研修に参加しておりました。その中で共通して語られた言葉があります。「会員を増やさねば・・・」という言葉です。地元に戻って12年、気づけば私自身いろいろな会に入会してきました。おそらくその全てにおいて「会員拡大」が急務になっています。
このことと関連させたいのですが、例えば私が住む当別町では新たな総合計画作成に着手しており、他の市町村同様、人口の増加を目標としています。12月1日現在15,852人の人口を2040年までに18,000人にする・・・という計画案を目にしました。人口を増やしたいというのは当然のことですし、増えるのであれば何も問題はありません。しかし、人口は減ります。
(2)いつも議論になるので付記します。「人口が減る」ということについては、さまざまな論拠が挙げられています。だから「人口が減る」ということを前提に考えたいのです。誤解のないように更に付け加えます。私は「人口が減っても良い」とは言っていません。当然ながら「人口を減らしたい」とも言っていません。むしろ「人口を増やしたい」と思っています。そのような私の願望とは別に、客観的に見て「人口が減る(ことを示すデータがある)」と言っているのです。
私が「人口が減る」というと、「人口が減ればマチは発展しない」とか「あなたの店もやっていけなくなる」とか、「そんな後ろ向きことは言うな」と言い返されてしまいます。話がかみ合わなくなるので、そのあたりでお茶を濁すのですが、「こうすれば人口は増えますよ」という説得力のある話を聞かせてくれた方はいません。
(3)一ヵ月ほど前、私にも思い出がある「札幌芸術文化の館」(私自身は旧称から「厚生年金(会館)」と呼んでいます)が21億円以上で解体されるという新聞記事を読みました。寂しいな、と感じるとともに、壊すということに、これだけの負担が必要なのだと感じた記事でした。この建物が建てられたのは、私が生まれた年と同じで48年前だそうです。建てたときに解体費用のことを想定していた人はどのくらいいるのでしょうか。
そして、今でも新しい建物は作り続けられています。つい最近、東京オリンピックの舞台となる国立競技場が完成しました。道内に目を向けると、北広島には新しいボールパークが出来上がり、そのための新駅も作られるようです。
これらの動きに水を差すつもりはありません。でも、これらの施設が使われ続けるであろう30年後、40年後のことを、誰か本気で考えている人はいるのでしょうか?40年後、日本の生産年齢人口だけで3000万人以上の減少が想定されています。もし本気で40年後のことを考えた人がいるとして、その人はこれらの施設を将来的にどのように維持できると結論づけたのか、私には大変興味があります。
(4)話を「会員拡大」に戻します。
私が言いたいことは、「会員をどうやって増やすか」という問題を考える際にも「人口が減る」という事実を前提に考えたい、ということです。
人口が減るということは会員拡大を図るための市場規模が縮小するということです。会員拡大活動が功を奏したとしても、それは一時的なものだと感じています。会員拡大活動で多くの入会者がいたとしても、それと並走するように退会する方もいます。ということで、私の知る限り「拡大に成功した」と言われる事例はその後「現状維持」と呼ぶべき範囲にとどまっています。
このように考えてくると私自身の考えは「人口が減少するという大きな波に逆らうのではなく、それにうまく乗ることはできないのか」という所に行き着きます。そのためにも、まず急ぐべきは「人口は増えるべきものである」という考えを捨てることであり、「人口が増加していた頃の仕組みが今でも幅を利かせている現状」からの脱却だと思うのです。
「地方消滅」が叫ばれてすでに数年が経つと思いますが、議論の中心は未だに「どうやって人口を増やすか」です。そうではなく、「人口が減るからどうすればよいか」をそろそろ考えるべきだと思うのです。おそらく本気で考えている人は、ほとんどいないと思います。偉そうなことを言っている私もそのうちの一人です(^_^;)
近時、デービット・アトキンソンさんが書かれた、中小企業経営者にとっては大変ショッキングな書籍を読み、衝撃を受けました。私達は私達が感じている以上に大きな時代の転換点に来ているようです。そのために発想を転換する必要性を感じましたので、駄文をしたためてみました。